1歳 ポメラニアン 2.0キロ
帰宅すると足を挙上していたため来院
レントゲンにて橈尺骨骨折を確認
第二病日にロッキングプレートにて速やかに整復した
術後は超音波骨癒合機(LIPAS)にて加療
癒合が遷延するも胃内異物を内視鏡にて摘出した所、速やかに骨癒合が進み
4カ月でプレート抜去
約一か月安静を支持
スクリューホールの消失を確認
治療終了とした
3歳 トイプードル
ソファーから変な落ち方をしてビッコを引いているとの事で来院
レントゲンにて第五中手骨の骨折を確認
変位が少なかったためケージレスト及び外固定を選択したが、活動性が高く骨折端の変位が広がったため手術を推奨
第十病日、オーナーの同意が得られたため
X線透視装置を使用して2.5ミリの極細の骨に対し、0.8ミリのピンを使用して整復手術を実施した
術後、超音波骨癒合装置(LIPAS)にて骨癒合を促進(骨の癒合速度が1.5倍になります)
約1カ月後に骨癒合を確認、ピンを抜去した
抜く前
抜いた後
中手骨骨折は前腕の骨折と共に比較的に多く発生する骨折で、
保存療法(ギブス)が用いられることが多いのですが
①骨折端が重度に変位(50%以上)変位しているか粉砕骨折の場合
②中手骨または中足骨が3本以上骨折している場合
③第三、第四中手骨あるいは二本とも骨折している場合
④骨折した場所が端の場合(変位が高率に生じる)
⑤関節に及ぶ場合
⑥開放骨折
⑦第二 第五中手骨の骨底の場合
⑧大型犬 使役犬 ショードッグ
の場合外科的整復が推奨されます
当院ではx線透視装置や超音波骨癒合装置(LIPAS)を導入することで確実な癒合を目指しています
症例
15歳雄 ミックス 12キロ
持続するビッコを主訴に来院 触診及びレントゲンで脛骨が前方にスライドするドロワ―サインを確認、手術を実施した
経過
2週間安静、次の4週間はリードをつけての歩行を指示
経過良好、関節サプリのみ継続
前十字靱帯とは大腿骨と脛骨を繋ぐ靭帯で脛の骨が前方にスライドするのを防ぎます
治療法には内科的な保存療法と外科的整復があります、小型犬では保存療法が選択される事も多いですが、保存療法中に半月板を損傷すると治りが悪くなる事があるので個人的にはやった方がいいと思ってます
また体重のある程度ある子に関しては基本的には内科療法は選択されません
手術法は色々ありますが、当院では大径ナイロンとクランプを用いる、米国SECUROS社製のシステムを導入しています
ビッコがある場合は御相談ください
2013.3.26 | 整形外科, 院長ブログ | comment:0
今日は、先日、膝蓋骨脱臼整復手術を実施した子の抜糸を実施いたしました
膝蓋骨とは大腿骨にある溝の上にある小さな骨で、太ももの筋肉(大腿直筋)と脛の骨を靱帯で結ぶ、俗に言う膝の皿の事
膝蓋骨脱臼とは、その膝蓋骨が大腿骨の溝から外れてしまう病気で、小型犬に多く、痛みを伴います
また、基本的に進行性の病気であり、早期の手術が奨められている病気です
手術としては、溝を深くする造溝術、脛の筋肉の付着部を切って移動させる脛骨粗面転移術、脛と太ももの裏にある種子骨を糸で結ぶ関節外固定、関節包を短く縫い縮める外側関節包縫縮術など色々な術式を犬種、重症度に合わせて選択します
この子の場合は痛みを伴うとの事で手術を実施しました
写真は造溝術前の膝関節の写真です。溝が浅いのと、習慣性に脱臼していたため、写真左手下の関節軟骨が白く変性しています
今度は造溝術後です
関節軟骨の変性部位及び犬種的に膝関節伸展時にはずれるため、造溝術の1種であるTBR変法と関節外固定術、外側関節包縫縮術を実施しました。
術後は自宅で軽いリハビリを指示
今日で術後約14日、抜糸しました
走る時に時々足を上げるとの事ですが、普通に歩いています。
安静を指示したのに走ってるって・・・
ふう・・・
まあ、いいでしょう
もう少し日にちが経てば普通に戻ると思います。
でも、言う事も聞いて欲しいもんです。
2012.12.14 | 整形外科, 院長ブログ | comment:0
無菌性大腿骨頭壊死(レッグベルテス病)で大腿骨頭切除した子を抜糸しました
この病気はハッキリした原因は分かっていないのですが、股関節の骨が虚血によって壊死する病気で、若齢犬に多い病気です
向かって右側の関節が患部になります
治療として壊死している大腿骨の関節を除去して、筋肉によって関節の代わりをさせる手術を実施しました
術後写真です
術後10日目、昨日抜糸しましたが、かなり歩くようになっています。
毎回そうですが、キチンと手術すればすぐに歩きだすのは分かっているのですが、今回は1カ月以上前からと経過が長く、筋肉の委縮も激しかったので歩きだすとホッとします
やはり解剖を熟知し、きちんと道具を揃え、きちんと手術をする
それが一番大事ですね