院長ブログ

当院では猫の慢性腎不全の薬を使ってません

2018.2.10 | 院長ブログ | comment:0

かなり寒いですね

動物病院の2月は少しゆとりがあります

なのでこれを気にシコシコ論文読んだりしています

まあ、それはいいとしてタイトルの話題に入ります

当院では基本、猫の慢性腎不全に投薬を奨めていません

何故か?

猫の腎不全の投薬は、おそらく人を基準に行われていると思うのですが、人のほうではどうやら怪しいぞって感じになっているから

これ十年以上前から言われていて、データの集積によって色々出てきています

RAS阻害薬によるクレアチン値増加 30%未満でもリスク増加

 CKD診療のゴールは、腎保護と心血管保護の両立にある。CKD合併高血圧は、降圧による心血管イベントの抑制と、腎機能の低下の抑制を、同時に満たすことで、最善・最良の医療を提供したことになる。RA系阻害薬は、CKD合併高血圧の治療においても、ファーストラインの選択肢として位置付けられている。RA系阻害薬には、特異的な腎保護作用があると信じられていたことから、糖尿病性腎症の発症や進展にはより好ましい選択肢であるとされてきた。一方で、CKD合併高血圧症にRA系阻害薬を使用すると、血清クレアチニンが一過性に上昇することが知られており、本邦のガイドラインでは、以下のような一文が付け足してある。

『RA系阻害薬は全身血圧を降下させるとともに、輸出細動脈を拡張させて糸球体高血圧/糸球体過剰ろ過を是正するため、GFRが低下する場合がある。しかし、この低下は腎組織障害の進展を示すものではなく、投与を中止すればGFRが元の値に戻ることからも機能的変化である。』(JSH2014, p71) 図は、この考えの根拠となるアンジオテンシンIIと、尿細管・平滑筋細胞・輸入輸出細動脈との間の、量-反応関係を示している。アンジオテンシンIIは、選択的に輸出細動脈を収縮させる。いわば、糸球体の蛇口の栓の開け閉めを制御しており、クレアチニンが上昇しGFRが低下する現象は、薬剤効果であり、軽度であれば無害であるとされてきた。糖尿病合併高血圧では、Hyperfiltration説(Brenner, 1996)に基づいた解釈により、RA系阻害薬は糸球体高血圧を解消することから、腎保護効果を期待され、第一選択薬として排他的な地位を築いている。

しかしながら、こうした考えはエキスパート(専門家)の”期待”にとどまっているのが実情で、十分なエビデンスによる支持があるわけではなかった。

RA系阻害薬の腎保護効果について、その限界を示唆した臨床試験として、ONTARGET試験・TRANSCEND試験があげられる[1, 2]。本試験は、ARB臨床試験史上、最大規模のランダム化比較試験であり、エビデンスレベルはきわめて高い。その結果は、或る意味衝撃的であった。ONTARGET試験では、ACE阻害薬とARBとの併用で、有意に33%の腎機能障害を増加させていた。TRANSCEND試験に至っては、腎機能正常群を対象にしたサブ解析で、実薬使用群での、腎機能障害の相対リスクが2.70~3.06であったことが判明した。他にも、RA系阻害薬の腎保護効果に疑問を投げかける臨床試験は、複数認められる。

eGFRの変化は、アルブミン尿・タンパク尿の変化よりも、心血管イベント予測が鋭敏である[3]。Schmidtらの解析による報告[4]は、RA系阻害薬による”軽微”とされていた腎障害が、腎保護効果はおろか、心血管イベントの抑制にも効果がなかったことを証明した。ガイドラインは、過去の研究成果を積み上げた仮説にすぎない。クリニカル・クェスチョンは有限とはいえ、無数にある。あらゆる選択肢の結果を保証するものではない。専門家の推論や、学術的COIに抵触するような期待に溢れた、あいまいな推奨を断言するような記述は、どこまで許容されるのか。この10年あまりの間、糖尿病合併高血圧や、CKD合併高血圧にRA系阻害薬がどれだけ使用されたのか。そのアウトカムの現実を明らかにした本論文の意義は、学術的な価値だけにとどまらず、診療ガイドラインの限界を示しているともいえる。

1)ONTARGET Investigators, et al. N Engl J Med. 2008;358:1547-1559.
2)Mann JF, et al. Ann Intern Med. 2009; 151: 1-10.
3)Coresh J, et al. JAMA. 2014; 311: 2518-2531.
4)Schmidt M. BMJ. 2017;356:j791.

猫の場合、ある学術雑誌にて

重要な文は

①ACE阻害薬は自然発症性のCRF(慢性腎不全)の猫では蛋白尿の減少は認められたが生存期間の延長を認めなかった

②蛋白尿は猫で高窒素血症の発症リスクの指標であり、予後予測因士であるエトセトラエトセトラ蛋白尿の減少は予後を改善させる可能性がある

③体重減少は腎機能の悪化に関連しており、ACE阻害薬による食欲改善効果はACE阻害薬の使用を支持すると考えられる

④高血圧は単独でCKDの猫の生存期間に影響しない

いちいち反論すると

①②については投薬しても生存期間伸びないんでしょ、蛋白尿の減少が予後改善するって可能性の範囲だよね

③食欲改善が目的ならもっと効く上に副作用の少ない薬あるよね

④だったら降圧する理由があるの?

使用して腎不全が悪化するリスクがある事と上記の理由によって腎不全の薬を当院では使っていません

また、昨年新しく出た薬に関しては論文検索しても(検索が甘いのかもしれませんが)、メーカーが出してきた論文と人の肺高血圧に関しての論文しか見つからず、

この話、どっから出てきた話か不明です

猫の腎不全の原因自体不明な上

この薬自体は前からあったようなのに、大体動物薬が出る時は人体薬を使用してて、改めてでる事が多く、少なくとも誰かが使っていて論文になってるとかあってもいいのに寝耳に水みたいな感じででてくるのはかなり不思議な感じがします

要するに自分なりの結論としては

(北斗の拳 ラオウとトキの最後の戦いのシーンより)

の可能性どころか悪化させる可能性が高いんじゃないか?

ちゅうこと

最近、腎不全て診断したら、おそらくネットで調べてくるんだと思うんですが、次の日に薬出してくれって来る人が多いので書いときます

無いっていうと皆あからさまに

「こいつ知らんのンや」

ってアホみたいに思われるのは実に心外です

こういうのは最初から薬貰いに来てるのでその場での論破が難しい・・・

出すより出さないと言う方が難しい

もちろん勉強を重ねて、俺そんな事言ったっけ?って言いだす可能性もなくはないですけどね

赤信号みんなで渡れば怖くない

こう言えれば楽なのに・・・

 

 

 

 

 

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