院長ブログ

漏斗胸

2017.8.23 | 院長ブログ | comments:2

漏斗胸の手術を2年前に実施した子が久しぶりに検診に来てくれました

漏斗胸、御存じない方が多いと思います

仔猫でこんな子いませんか?

 

これ、漏斗胸といってレントゲンで見ると

こんな感じ、胸郭が潰れてしまっています

この疾患、軽い子はそのまま大きくなりますが、症状の重い子は死に至ります

またこの疾患は、呼吸が出来ないために死ぬ病気と思われていますが、私見では、この疾患は胸郭の動揺によって消耗する事と胸郭が動揺する事で嚥下が出来ない事による消耗性疾患だと思っています

爺獣医のタワゴトで1キロになったら手術できる、なんて言われる事が多いのですが

それ、たぶん嘘です

1キロなんて増えないから

なぜなら、10何年前、新卒だった自分が、そう言われて、信じて、3カ月不眠不休で4時間おきにカテーテルで一日量の3倍食べさせたけど増えなかったから

当時、24時間電話対応もしてたので死ぬかと思った・・・

技術、根性、知識、あらゆる物が未熟でした

ちなみにこの子は800gで手術に踏みきりました

10年、この病気について考え続けた上でのリベンジでした

おそらくこの病気、いつか、どこかの段階でリスクを冒して麻酔をかけて手術をしないと助からない病気です

根本的な理由は分かりませんが、別件で内蔵の生検をしたのですが、病理学的変化、内蔵の変位など多く、おそらく遺伝的素因も含めた多因士疾患なんだと思います

手術は色々あるのですが

肋骨に、X線透視下で心臓の横に糸を掛けて引っ張って固定します

 

 

これで成長を待ちます

食欲不振の子も固定するとモリモリ食べる様になるのが不思議

ちなみにこの子は今現在3.5キロ

胸郭の動揺は見られなくなりました

あまり情報のない分野ですので難しい症例ですが、少しだけ経験があります

御相談ください

 

 

 

東岸和田動物病院

岸和田市土生町2-30-15(イオン近く)

TEL. 072-438-7878

土・日・祝も診察中

診療時間