泌尿器系の手術も色々ありますが、厄介なもののナンバー1は前立腺です
前立腺は副生殖腺で膀胱の根元にあり、加齢とともに増大する組織で未去勢の子では前立腺の肥大や前立腺にのう胞、感染を伴えば前立腺膿瘍を、腫瘍では前立腺ガンが発症します
治療としては抗生物質やホルモン製剤、去勢手術、前立腺切除etc・・・
教科書的には色々書いてはありますが、はっきり言って効かないことが多いです
前立腺には薬の浸透を防ぐ前立腺―血液関門がある事、解剖学的に膀胱に行く神経や血管が前立腺を経由する事、膿瘍では感染もあるため外科的切除も難しく、再発率も高く
正直、良性の前立腺用肥大以外はなかなか治療は困難と言われています
今回の子も、こんな感じ
これ、13キロのワンの前立腺に貯まっていた膿です
過去に前立腺膿瘍からの腹膜炎をおこし、一度内科的に落ち着かせましたが、再度悪化
この子に関しては前立腺の感染から4段階のうち2~3段階の腎不全も発症しており、検討の結果、リスクはありますが、全身麻酔による去勢及び特殊な薬液注入を実施しました
術後10日を経過し、抜糸しましたが、経過良好で膿瘍も縮小、腎数値も落ち着いています
こんな感じ、調子よくなってスタコラ逃げるの図です
この治療は一回で良くなることが多いのですが、例え再発しても再度注入したら良いだけの事、文献的にも成績がよく、抜いて入れるだけ、
お薦めです
飼い主さんも
「今回はこのまま逝ってまうかと思ったわ」
といっておられましたが
うちに来ているかぎり、そうは逝かせません
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