院長ブログ

指間の腫瘍、患肢温存

2013.9.28 | 温熱療法(焼烙処置), 院長ブログ | comments:7

ガン温熱療法を実施、治療完了しました

ガン温熱療法とは、ガン細胞が42度以上の温度に弱い事や腫瘍内部の血管が熱によって拡

張せず、熱を逃がしにくい構造になっている事を利用して、腫瘍を熱で治療する治療法で

腫瘍細胞に熱を加えることにより産生されるHSP(ヒートショックプロテイン)が免疫を刺激することもできます

当院の動物専用の温熱療法器、AMTC200にて今回治療した指間の5センチ大の腫瘍の治療を、飼い主様の了承を得て掲載します(グロテスクな画像も含まれますので見たくない方はあしからず

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指の間の5センチの腫瘍です、ガンの治療の第一選択は外科療法ですが、この場合腫瘍切除後、縫うことが出来ないため、外科治療するには左右の指を断指(歩けなくなる可能性があります)するか、断脚するしかありません

そこで今回、オーナー様と相談の上、腫瘍をブロック(ある程度の塊でないと悪性度はわかりにくい)で切除しつつ病理検査に出し、その結果によっては拡大切除するとの事で温熱治療を実施しました

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腫瘍の切り出しの後、腫瘍に針を刺して1ク―ル10分を三回、計30分の焼烙を実施しました

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翌日

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3日目、腫瘍組織が大分、壊死してきています

漿液がかなりでていますが、食欲元気は良好です

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1週間目、漿液が出なくなり、壊死の進行も止まりました

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2週間目、皮膚の治癒が進行しています

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24日目、完治しました

この治療は治癒するまでに外科手術に比べ、手間や時間がかかる事、腫瘍の種類によっては使用できないこともありますが、短時間(1クール10分)で済むことや外科的に取りきれない場所に使える事、足の温存ができるなど多くのメリットもあります

とくに局所腫瘍(体表部、足、口腔腫瘍)に効果があると思われます

ずるいですが、足先など、取りきれない腫瘍は、一部病理に送って温熱治療器で治療し、悪性度が高ければ拡大切除、そうでもなければこのまま癒合させる、そういう二段構えで備えられるのは大きなメリットと思われます

適応かどうかは見てみないと分かりませんので、一度御来院の上ご相談ください

また、他の症例についてはAMTC200と検索して頂けると色々出てきます

参考にどうぞ(ショッキングな画像も多いですが

 

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